生まれも育ちも首里芸人がオススメする、ゆったり過ごす首里時間
2021年11月5日
    
Person
首里のすけ
オリジン・コーポレーション 代表兼芸人
1989年首里生まれ。野球部で出会ったしんこと宮城伸とお笑いコンビ「しんとすけ」を結成、沖縄のお笑いグランプリで数々の実績を残す。現在、ラジオのパーソナリティーや、テレビタレントとして、地域密着型の芸人として活躍中。首里への熱い思いは人一倍。大好きな首里や沖縄の人たちが、いつでも笑顔でいられるような芸人を目指す。
Story
1.首里そば
2.達磨寺(西来院)
3.知念製菓
4.首里城
5.瑞泉酒造

地元住民がオススメする地域散歩①
【沖縄県 那覇市 首里】

沖縄県那覇市の東部にある首里地域。琉球王朝時代は、首里城の城下町として発展しました。首里を歩くと、いまも琉球王朝の面影を垣間見ることができます。2019年10月31日の火災により、正殿を含む7棟の建物や、収蔵されていた工芸品が焼失したため、現在、復興に向けて復旧作業が続いています。

今回の散歩コースは、沖縄都市モノレール線「首里駅」よりスタート。首里の住人だからわかる、その土地の魅力をご紹介します。


【①首里そば】
シンプルで洗練された透明感のあるスープと、コシのある麺が魅力。近所のひとも気軽に食べに来る地域密着の名店

ゆいレール首里駅で下車し、徒歩5分ぐらいのところに、沖縄そばの名店「首里そば」があります。首里は、昔ながらの石畳や坂道も大変多いので、散歩に体力を使います。事前にしっかり食べておきたいところです。

「首里そば」は、行列必須店なので、オープンと同時に満員になることも多いので、早めの到着をオススメします。僕も、時々食べに行きますが、お店が繁盛していて、スープ切れになることもよくあります。気をつけて、早めに訪問してくださいね!

「首里そば」の特徴は、シンプルで洗練された透明感のあるスープと、コシのある麺です。スープと麺にはそれぞれ特徴があります。スープは、鰹、豚、塩でシンプルにまとめた、透明感のあるしっかりとした味。麺は、湿度に配慮しながら丁寧に打った手打ち麺で、コシが固く、大変コクがあります。

湿度を保つために、真夏でもクーラーのない場所で、麺は作られています。トッピングは、しっかり煮込まれた赤肉。あとは、一般的によく見る紅ショウガではなく針生姜なので、大変さっぱりしています。

あと、「首里そば」店主さんの首里へ対する熱い思いが大好きです。那覇でも有名な行列店になった今も、沖縄そばを500円で提供しています。これは、観光客だけでなく、近所の人や子供たちも気兼ねなく食べにきて欲しいと考えてのお値段据え置きです。首里の子供たちに「首里そば」の味を忘れずに、ずっと食べ続けてほしい。いつも地域のことを考えている店主さんを思わず応援したくなります。


【②達磨寺(西来院)
古くから残る風習、首里十二支巡りが楽しめる達磨寺で、旅の開運祈願を

「首里そば」のすぐ隣に、「西来院」(通称「達磨寺」)があります。

古くから首里には、首里十二支巡りという風習が残っていて、首里にある四箇所の寺院に奉られている十二支の守り本尊を巡回することで開運するといわれています。とくに、自分の干支を祀っている寺院に行くと、良いと言われています。

達磨寺では、卯・戌・亥年の守り本尊を祀っています。この風習は、いまも地域にしっかり根付いていて、どのお寺も、首里住民が出入りしやすいようにいつも解放されています。達磨寺では、写真スポットで有名な赤い鳥居、なでだるまや、軽く持ち上げられると願いがかなう達磨石など、楽しめる工夫をたくさんしています。ぜひ試してみてくださいね。


【③知念製菓
洗練された和菓子と伝統の琉球菓子を提供する、首里で愛され続ける名店

達磨寺を出て、龍譚通りを7分ぐらい歩き続けると和菓子屋が見えてきます。以前は琉球菓子が主でしたが、岡山で修行をした3代目店主が受け継いで以降、和菓子も扱うようになり、沖縄で本物の和菓子が食べられるお店として有名になりました。

琉球菓子は、琉球王国時代とも関わりが深く、歓待料理や祭祀によく用いられていました。首里城公園では、現地で体験してもらえるよう、知念製菓のお菓子とお茶を一緒に提供しています。

知念製菓のお菓子はどれも本当に大好きなのですが、琉球菓子でも、とくに人気なのが、薫餅(クンペン)です。ピーナツとゴマの香ばしい餡がしっかりとした味わいで、僕も大好きですね。琉球菓子は、首里の法事など行事には必ずでてきますし、地元では、いまでもよく食べられています。

ここのお菓子には、首里にまつわる商品名がつけられています。「首里薫餅」、「首里どら」、「守礼門」、「龍樋のしずく」など、首里の思い出に、首里の名前のついたお土産をぜひ買っていただけるとうれしいです。

あと、葛氷もオススメです。見た目は普通のアイスキャンディーですが、葛を凍らせていて、食感はゼリーです。葛なので、沖縄の猛暑下でも溶けにくくて、ベタベタしません。

首里観光の時に、休憩も兼ねてぜひ現地で葛氷を食べてもらいたいなと思います。マンゴーやパイナップル味など、沖縄らしいジューシーな味もいろいろ揃っていますよ。葛氷は、意外に地元の人も知らないので、どんどん広まればいいなと思っています。


【④首里城】
現地で首里城復興をぜひ体感して欲しい。

東のアザナからの沖縄らしい風景を眺めてみて

首里城正殿などは、火災で燃えてしまいましたが、他にも見るべきスポットが満載なので、ひとりでも多くのひとに、ぜひ遊びに来て欲しいです。いままで首里城に遊びに来てくれた人たちが、一切いなくなってしまうと、地元住民としては、とても寂しいです。

2019年2月に戦後よりおこなわれてきた首里城復興工事がようやく終わり、これからというタイミングだったので、火災に落胆した首里住民は大変多かったです。その後、コロナ禍になり、首里にとっては大変辛い時期になってしまいました。ただ、こんな時だからこそ、あらためて地元住民だから知っている首里城の楽しみ方を提案したいと思います。

首里城を再建していく過程を公開していて、見学しやすいように展示しています。過程の見学は、いまだけの貴重な体験です。いまだと、世界文化遺産に登録されている、首里城正殿地下の遺構をガラス張りで見ることができます。正殿遺構には、往時の基壇の石積みを見ることができます。

首里城火災後から、創意工夫で首里城についてよりよく知ってもらおうとする意欲が地元でも高まったと思いますね。中でも、首里城変遷を学ぶタッチパネルはおすすめです。1700年代の首里の街から、戦前、戦後、現代の4段階で変遷をみることができます。

あと、いまだからこそのおみやげとしておすすめなのが、年間パスポート。火災後に入場チケットが半額になっていて、年間パスポートも1600円がいまなら800円で作れます。年間パスポートには写真が掲載されるので、おみやげにするのも良いかと思います。パスポートをきっかけに、ぜひ何度も遊びに来てくれたら嬉しいです

最後に必ず寄ってもらいたいところは、東のアザナです。首里や那覇を見渡せる眺望もオススメです。街の向こうには、東シナ海が広がっていて、沖縄を象徴する爽快な風景だと思います。夕方頃も趣があって人気です。


【⑤瑞泉酒造 】
首里王朝時代から営まれる由緒正しい泡盛酒造
オススメの工場見学で、泡盛の作られる工程を学ぼう

瑞泉酒造は、首里城から最も近い酒造です。おそらく、500Mぐらいしか、離れていないかと思います。なので、首里城火災の時は、火の粉が届くぐらいでした。

瑞泉酒造は、元々大変由緒正しい歴史のある酒造です。王朝時代、王府の命を受け泡盛の製造が許可された地域は限られていて、首里城裏手の崎山・赤田・鳥堀の首里三箇だけでした。王朝時代からの流れを汲んで、いまも崎山で瑞泉酒造が営まれています。

今はコロナ禍で一部制限が入りますが、工場見学ツアーはおすすめです。2階には展示ブースがあって、1階では泡盛が作られる工程をみることができます。泡盛用のタイ米を種付けして作った米麹に、水と酵母をくわえてもろみにし、発酵させ、蒸留する一連の工程を間近で見学できるのは臨場感があって楽しいですよ。最後は、しっかり試飲もできます。

工場見学ですが、事前に確認して、工場が稼働している時に訪問する必要があるので注意してくださいね。偶然会えたらですが、こちらの工場長が大変かわいらしく、CMにも出演していて、地元では有名人です。工場に等身大パネルも準備されているぐらい、地元では大変愛されています。

最近、瑞泉酒造では、女性でも飲みやすい泡盛を研究していて、スパークリングワインのようなリキュールも開発されています。泡盛が苦手な人でも飲めるように配慮した「瑞泉レガーレ」は意欲的作です。いままで、泡盛が苦手だった人もぜひ、一度飲んでみてくださいね。


沖縄・首里住民の特徴を教えてください

人をもてなすのがとにかく大好き、歓迎気質のウチナンチュー。
地域の名物わらわさーにぜひ会いに来てください。

―首里のすけさんをはじめ、沖縄で活躍される芸人さんは、他地域と比べるとても多いなという印象です。これは、沖縄気質なのでしょうか。

沖縄の人は、音楽が鳴ると思わず踊り出すじゃないですが、芸をもって客人をもてなすのが大好きで、根っからの歓迎気質です。プロアマ問わず芸人気質の人が多い地域なのかなと思います。沖縄には、わらわさー(意味:ひょうきんもの)といわれる名物おじいちゃん、おばあちゃんが、必ずいます。首里を散策することで、ぜひ、わらわさーを探してくれるとうれしいです。

―会いに行けるわらわさー、とてもいいですね!旅行会社のアンケートで、観光客が沖縄に期待することのランキングで、住人との交流がいつも上位です。きっと、交流をみなさんとても期待されていると思います。

ありがとうございます!首里の人たちは、みんな穏やかでのんびりした傾向があるので、話していてほっとするかと思います。積極的に交流してみてください。



沖縄・首里をより楽しむためのポイントを教えてください

首里は、古きよき沖縄を満喫できる、貴重な場所です。
お祭り時期は、より首里らしさを楽しめます。

―あとは、首里で日常見ることができる、何気ない沖縄らしい風景がオススメだそうですね。首里が、どちらかというと、ほっこりする地域だとは知りませんでした。

はい、何気ない首里の風景が本当おすすめですね。保存された歴史的資料を元に再現された、琉球王朝自体の佇まいがどこか残る懐かしい風景は、古き良き沖縄を満喫できる貴重な場所にもなっています。歴史的な名残のある風景は、沖縄の中でも、いまとなってはそんなに実は多くないです。

首里城自体は、大変華やかな建築ですが、首里自体は沖縄らしい原風景を満喫できる、どちらかというと、ちょっとほっとできる地域です。遺跡や歴史を見るのが好きな方や、街歩きが好きな方には、本当にオススメです。ガイドブックには紹介はされていないけど、歴史のある建物や名所が埋もれています。きっといろいろ新しい発見ができると思いますよ。

―首里らしさを満喫するといえば、お祭りがオススメみたいですね。

首里というか、沖縄のひとたちは、みんなお祭りが大好きです。より琉球王朝時代を堪能したい場合は、琉球王朝祭り首里がおすすめですね。

龍潭通りで、琉球王朝絵巻行列や、伝統芸能公演、旗頭ガーエー、龍潭の仕掛け花火などを楽しめます。祭りのクライマックスの旗頭ガーエーは、地元の人も大変楽しみにしています。20基くらいの旗頭が互いに旗頭を舞わせて、気勢をあげる勇壮な演舞です。迫力満点ですよ。

―首里のすけさん、インタビューにご回答いただきありがとうございました!最後に、これから首里へ遊びに来る人へむけて一言お願いします!

ぜひ、首里城を含め首里の街全体をゆっくり散歩して頂きたいです。首里は、高台なので風通りもよく、歩くと気持ちも穏やかになりますよ。首里在住の僕でさえそうなので、感じられるパワーはスゴいなと思います。

あと、たまたま僕を見かけたら声をかけてください!シェアローカルストーリーを見ました。で、もれなく首里の街をガイドします!笑 見かけ無かった場合も、この記事を見て、一緒に首里の街を楽しみましょう!


①首里そば
住所:沖縄県那覇市首里赤田町1-7 ギャラリーしろま内
連絡先:098-884-0556

公式オンラインショップ:http://shurisoba.shop-pro.jp/

②達磨寺(西来院)
住所:沖縄県那覇市首里赤田町1丁目5−1
連絡先:098-884-1077

③知念製菓
住所:那覇市首里石嶺町2−260−1
連絡先:098-884-3813(代表)
公式サイト:https://shikisai-com.square.site/

④首里城公園
住所:沖縄県那覇市首里金城町1-2
連絡先:TEL:098-886-2020 FAX:098-886-2022
公式サイト:https://oki-park.jp/shurijo/

⑤瑞泉酒造
住所:沖縄県那覇市首里崎山町1-35
連絡先:TEL 098-884-1968 FAX 098-886-5969
公式サイト:https://www.zuisen.co.jp/

Person
首里のすけ
オリジン・コーポレーション 代表兼芸人
1989年首里生まれ。野球部で出会ったしんこと宮城伸とお笑いコンビ「しんとすけ」を結成、沖縄のお笑いグランプリで数々の実績を残す。現在、ラジオのパーソナリティーや、テレビタレントとして、地域密着型の芸人として活躍中。首里への熱い思いは人一倍。大好きな首里や沖縄の人たちが、いつでも笑顔でいられるような芸人を目指す。